障害者自立支援法における日常生活用具の位置付け

障害者自立支援法における日常生活用具の位置付け

障害者自立支援法は、対象者として、身体障害者、知的障害者、精神障害者を一本に統合し、実施主体者を市町村に一元化して、利用者に一割負担させる制度を取り入れるようになっていますが、日常生活用具は、市町村の地域生活支援事業の一つとして、重度障害者に対し、自立生活支援用具等の日常生活用具を給付又は貸与すること等により、日常生活の便宜を図り、その福祉の増進に資することを目的とすると、位置づけられております。

市町村の判断が及ぼす影響の重要性

日常生活用具事業は、市町村が実施する事業の大きな柱の一つであると同時に、利用者にとっても情報の収集や提供、活用次第では仕事に密接に直結するなど、大きな可能性も秘めているだけに、市町村の判断は最大の関心事であります。

それだけに、市町村の障害者施策推進協議会(障害者基本法に基づくもの)や、新たに策定委員会などを設置して計画策定をすすめることとなっているこの機関には、障害者団体や関係者の代表複数が委員として参画することなどが重要になると考えられます。

自立支援法施行による主な改正点

上のように位置付けられた補装具と日常生活用具の制度は、平成18年10月1日から次のようにいろいろ変わっているので地元の市町村福祉担当課に相談することが大切です。

  1. 現物支給から、補装具費(購入費、修理費)の支給になりました。
    (1)対象品について
     盲人用安全杖、義眼、眼鏡が対象品となり、
      ア)点字器 : 日常生活用具へ移行
      イ)色眼鏡 : 廃止
    などと、変更になりました。
    (2)利用者負担
     定率負担になり、1割を利用者が負担することになります。ただし、所得に応じて一定の負担上限が設定されます。
  2. 市町村地域生活支援事業の一つになりました。
    (1)対象品について
     以下の三つの要件を満たす、6種の用具となりました。

[要件]

  1. 安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの。
  2. 日常生活上の困難を改善し、自立を支援し社会参加を促進するもの。
  3. 製作や改良、開発にあたって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活用品として一般的に普及していないもの。

[種目]

  1. 介護・訓練支援用具
    身体介護を支援する用具や、障害児が訓練に用いるいすなど
  2. 自立生活支援用具
    入浴補助用具や聴覚障害者用屋内信号装置などの、入浴、食事、移動などの自立生活を支援する用具
  3. 在宅療養等支援用具
    電気たん吸引器や盲人用体温計などの、在宅療養等を支援する用具
  4. 情報・意思疎通支援用具
    点字器や人工喉頭などの、情報収集や情報伝達や意思疎通等を支援する用具
  5. 排泄管理支援用具
    ストマ用装具などの排泄管理を支援する衛生用品
  6. 居宅生活動作補助用具(住宅管理費)
    居宅生活動作を円滑にする用具で、設置に小規模な住宅改修を伴うもの

視覚障害者向けの具体的な対象品

具体的な対象品は市町村が独自で判断することになりますが、以下の商品は各種目に該当する対象品例です。

詳しくは市町村の福祉窓口に問い合わせすることが大切です。

  • 自立生活支援用具:電磁調理器、歩行時間延長信号機用小型送信機
  • 在宅療養支援用具:盲人用体重計、盲人用体温計
  • 情報・意思疎通支援用具:情報・通信支援用具(障害者向けのパソコン周辺機器、アプリケーションソフト)、点字ディスプレイ(盲ろうに加えて、視覚障害のみも対象になります)、
  • 点字器、点字タイプライター、視覚障害者用ポータブルレコーダー、視覚障害者用活字文書読上げ装置、視覚障害者用拡大読書器、盲人用時計など

利用者負担について

実施主体の市町村の判断により決定されることになりますが、多くの地域で「各種目の基準額の1割負担(所得により月額負担上限額あり)」となっており、一部の地域で「申請者の負担なし」を採用しているところもあります。

また、1割負担の地域でも軽減措置が講じられている所もあります。

詳しくは、市町村の福祉窓口に問い合わせすることが大切です。

視覚障害者、対象者の変化

  1. 在宅以外の施設入所者も給付対象になりました。ただし、本来施設で準備すべき備品もあるので、市町村で必要性を調査し判断します。
  2. 給付対象者は重度視覚障害者となっていますが、機械的に1、2級とするのではなく、必要性を勘案の上、市町村で判断するようになりました。
  3. 「盲人のみの世帯」、「手指の触覚に障害がある」などの障害の程度についての記載はなくなり、必要性を市町村で判断することになりました。

申請から給付までの流れ

  1. まずはカタログから商品を選ぶ。
  2. 市町村の福祉窓口に対象品になっているか、たしかめる。
    初めて申請する方は、身体障害者手帳をはじめ、準備する書類がいくつかあるので、併せて市町村の福祉窓口に相談することが大切です。
  3. 書類を揃えて、市町村の福祉窓口に申請。
    商品の見積やカタログをとるように指示があった場合は、販売業者にその旨連絡する。
  4. 給付が決まると市町村から申請者及び販売業者へ通知書が送られる。
  5. これ以降の手続きについては、販売業者から連絡が来るので、担金の支払いや給付券等の書類に捺印をす。負担金の振込みなどを行う。
  6. 販売業者より商品が届く。