点訳とは?~最新点訳ノウハウ紹介
文字を点字に翻訳することを点訳と呼びます。
従来、点字をよく学習して熟知した目の見える人(晴眼者)が、活字や手書きの資料(墨字)を目で追いながら1文字ずつ点字に翻訳していく作業が点訳でした。
しかし、今では、技術が進歩し、かなりの部分を自動化できるようになりました。
このページでは、最新の技術を利用した効率のよい点訳方法を紹介しています。
点訳は大変か
あなたがあるセミナーを主催し、そこに視覚障害者が参加したとしましょう。
あなたは、視覚障害者の参加者に点字の資料を用意しようと考えますでしょうか?
いや、とても無理だ、特別な参加者にそんなに費用や労力は掛けられない、とお考えでしょうか?
ところが、そうでもないんです。点訳は案外ローコスト、少ない労力でできるのです。
従来の点訳
「点訳」とは、普通の文字で書かれた文章を点字で書かれた文章に翻訳することです。
従来は、この作業は、点字を熟知した点訳者が、印刷物を読みながら、自分の頭で点字に翻訳して、点字板でこつこつと書いていきました。
この作業パターンですと、
- 作業は点字を熟知した人手なければできない
- 1文ずつの翻訳なので、時間が非常にかかる
ということで、確かに高い作業コストを支払わなければなりませんでした。
しかし、今は自動点訳や文字認識の精度も大幅に上がった結果、作業手順を整理すれば、あなたの従来のイメージからは考えられないほどローコストで点字の資料を作成することができるようになりました。
効率のよい点訳3パターン
株式会社アメディアでは、効率よく点訳を行う作業フローとして、以下の3パターンを提唱しています。
- コピー点訳
- 編集点訳
- 校正点訳
コピー点訳
点訳をすべて機械に任せる方法です。
もっとも速く点字印刷物ができあがる方法ですが、翻訳ミスやレイアウト崩れなどは読み手が許容しなければなりません。
編集点訳
ソフトウェアによる機械点訳のプロセスに入る前に、テキスト文書を編集して、
- 誤字を修正する
- 点訳に適したスタイルにする
ということだけを行います。
この機械点訳に入る前のテキスト文書編集処理で、点訳の精度は大幅に高まります。
編集のコツを覚えてしまえば、この作業フローで点訳を勉強中のレベルの「未熟な点訳者」よりも正確な点字資料を作ることが十分に可能です。
なお、テキストの編集を行う人は、点字に対する知識は基本的には必要ありません。ただ、一応点字とはどんなものなのかについての基礎知識はもちろん役に立ちます。
中途半端なレベルの点字知識で判断すると、正確な機械点訳を疑ってしまい、むしろ機械に誤りをもたらす変更をしてしまう可能性もあります。
例えば、ひらがなの方が正確に点訳できると思い込み、漢字の文字列をひらがなに直しすぎると、点訳の際に分かち書きの誤りが出てくるなどのことです。
さらには、自動点訳ソフトで自動変換後に表示されるひらがな文書の助詞の「わ」を「は」に直したり、「え」をへ」に直したり、長音を「う」に変えたりすると、点字のルールに反した変更となり、自動点訳でせっかく正しく変換したデータを、誤ったデータに変更してしまうことになります。
校正点訳
最終段階で点字のプロが点字フォーマットの状態で校正する点訳方法を「校正点訳」と呼びます。
この方法が、もっとも正確な点字印刷物を作成できる方法です。
校正点訳は、編集点訳を終えた後の点字データに対して、点字フォーマットの状態で校正をかけることです。
点字の出版物を作るといったようなときには、この手順を踏むべきでしょう。
校正点訳を行う場合でも、点字のプロが最初からこつこつと点訳するわけではなく、すでにできあがっている非常に正確な点字データに対して最終チェックを入れるわけなので、これでも従来の点訳プロセスに比べれば大幅に低コストで行えます。
ただ、この校正点訳を行う人は、非常に点字に熟知している必要があります。
編集点訳後に生成された点字データ自体も非常に正確なので、中途半端な知識の人が校正点訳を行うと、むしろ誤りを加えてしまう恐れさえあります。
なお、点字の知識のレベルを計る基準として、点字技能検定という試験があり、これに合格した人を「点字技能士」と呼びます。
校正点訳を行う際には、点字技能士の資格を持った人に依頼することをお勧めします。