第6章 上級者向け機能

この章では、よむべえスマイルの上級者向け機能について説明します。

6.1. 連続スキャン

書籍などで、複数のページを一度にまとめて読み取りたい場合には 連続スキャンという機能を使うと便利です。 連続スキャンを開始すると、よむべえスマイルは指示があるまで 何度でも連続して読み取り動作を繰り返します。 このあいだに書籍のページをめくってタイミングよくよむべえスマイルに置くことで、 複数のページを一度に読み取ることができます。

 キー説明
連続スキャンをおこなうには、まず拡張メニューを開きます。 取り消しキーTabを押しながら、読み取りキーの 左隣りにあるモード切り換えキー.を2回押します。

「拡張メニュー」というアナウンスがあり、 その後、上下のキーで項目が選択できる状態になります。 ここで下キー2を数回押すと 「連続スキャン」とアナウンスしますので、 この状態で停止・再開キー5を押します。 連続スキャンが開始されます。

連続スキャンを停止するには、 取り消しキーTabを押してください。 また、イメージスキャナに何も置いていない状態を検知すると よむべえスマイルは自動的に連続スキャンを中止します。

連続スキャン中は、よむべえスマイルは約30秒おきにページを読み取ります。 連続スキャンを始めると、よむべえスマイルは停止するまで 同じ動作を繰り返しますので、あるページの読み取りが完了して 次の読み取りが開始するまでの間に書籍のページをめくる必要があります。

  1. 「読み取り完了」のアナウンスのあとに、 すぐにイメージスキャナのフタを開けて書籍を取り出します。
  2. 次のページを開きます。
  3. 書籍をイメージスキャナに置いてフタを閉めます。
  4. 「読み取り開始」のアナウンスのあとで、 次の読み取りが始まります。

以上、1.~4. の繰り返しです。

イラスト:連続スキャンの操作
 ワンポイント
連続スキャンで正しくページを読み取るには、多少の慣れが必要です。 連続スキャンで読み取ったページは後になるまで正しく読み取れたかどうかが わからないので、もしあるページがうまく読み取れないと感じた場合は そのまま同じページをもう一度読み取らせて、あとで余分なページを削除してください。

6.2. 点字スキャン

よむべえスマイルでは点字印刷された文書を読み上げることもできます。 まず通常の印刷物と同じように読み取りたい点字の書かれたページを イメージスキャナのガラス面に当て、点字スキャンという 操作を実行します。

 キー説明
点字スキャンをおこなうには、まず拡張メニューを開きます。 取り消しキーTabを押しながら、読み取りキーの 左隣りにあるモード切り換えキー.を2回押します。

「拡張メニュー」というアナウンスがあり、 その後、上下のキーで項目が選択できる状態になります。 ここで下キー2を数回押すと 「点字スキャン」とアナウンスしますので、 この状態で停止・再開キー5を押します。 点字スキャンが開始されます。

点字スキャンでは、読み取った点字の文章は点字規則を考慮して 通常の日本語に変換されて読み上げられます。これ以外の操作は 通常の印刷物と変わりません。

 ワンポイント
点字原稿が逆向きに認識されてしまった場合、 よむべえスマイルは意味のない文章を読み上げます。 このような場合は、原稿をさかさまに置いて もう一度点字スキャンをおこなってください。

また、点字が両面に打たれている場合は、 表の面と裏の面に対してそれぞれ点字スキャンをおこなってください。

 注意
よむべえスマイルは点字の影を認識することで点字の読み取りをおこなっているため、 通常の墨字と点字が同時に印刷された文書に対しては点字スキャンをおこなうことができません。 ただしこのような場合でも、墨字部分は通常の読み取りで認識することができるため、 点字スキャンがうまくいかない場合は通常の読み取りを試してみてください。

6.3. 高度な文書管理

文書の移動 で触れたように、よむべえスマイルは各ページを 「文書」というものに分けて保存しています。 この節では、より進んだ文書管理のための機能を紹介します。

新しい文書の作成

よむべえスマイルは通常、1日に1回、新しい文書を作成しますが、 一度に何種類もの違う印刷物を読み取る場合は、 各印刷物ごとに別々の文書に分けることで、 よりわかりやすく印刷物を管理することができます。

 キー説明
新しい文書を作成するには、まず拡張メニューを開きます。 取り消しキーTabを押しながら、読み取りキーの 左隣りにあるモード切り換えキー.を2回押します。

「拡張メニュー」というアナウンスがあり、 その後、上下のキーで項目が選択できる状態になります。 ここで下キー2を数回押すと 「新しい文書を作成」とアナウンスしますので、 この状態で停止・再開キー5を押します。 新しい文書がつくられ、以後スキャンしたページはこの文書に追加されます。

どのように文書を分けるかは、お客様の工夫しだいです。 代表的な例としては、一冊の本をひとつの文書としてまとめるという方法があります。 また、1日の新聞やチラシや郵便物をそれぞれ別の文書にするという方法もあります。

イラスト:いろいろな文書

文書に名前をつける

よむべえスマイルが新しく文書を作成する場合、自動的に 「○月○日の文書」のような名前がつけられますが、 よむべえスマイルではスキャンした文書中で使われている文字を使って、 この名前を変更することができます。

よむべえスマイルの文書に名前をつける場合は、まず 文字選択という操作をおこない、 文書につけたい名前を文中の文字から抜き出します。

 キー説明
文字選択をおこなうには、まず 2.5.漢字の詳細読みで説明した 漢字の詳細読みを使って、名前に使いたい最初の文字を読み上げます。 ここで、取り消しキーTabを押しながら、 停止・再開キー5を押すと、 「文字選択、開始」というアナウンスがあり、 最初の文字が選択されます。

選択されている文字は通常よりも高い声で読み上げられます。 この後取り消しキーTabを押しながら、 左キー4または右キー6を押すと、選択の範囲が前または後ろに 1文字ずつ伸びていきます。

文字選択の状態を取り消すには、 もう一度取り消しキーTabを押しながら 停止・再開キー5を押してください。

次に名前をつける操作を実行すると、 文書の名前が変更されます。

イラスト:文書に名前をつける
 キー説明
文書の名前を変更するには、 文字が選択されている状態取り消しキーTabを押しながら、 しおりキー/を2回押します。 「文書の名前を変更しました」というアナウンスがあり、 以後この文書はその名前で呼ばれます。

文書中の文字を検索する

ある文書中に何度も同じ単語や地名などが現れる場合、 よむべえスマイルでは、これらの文字を文書中から検索することができます。

文字を検索する場合は、文書に名前をつける にある まず検索したい文字が現れている部分に移動し、 文字選択の操作をつかって、 検索対象となる文字を選択してください。 次に指定した文字が現れている部分にジャンプします。

 キー説明
文書中の文字を検索するには、文字が選択されている状態取り消しキーTabを押しながら、 前ジャンプキー7または 次ジャンプキー1を2回押します。

前ジャンプキーが押された場合、 よむべえスマイルは現在の位置よりも前にある文字を検索し、 次ジャンプキーが押された場合は、 現在の位置よりも後にある文字を検索します。 指定された文字が見つかった場合、 よむべえスマイルはその文字が現れている部分から読み上げを開始します。

イラスト:文字の検索
 ワンポイント
文字が見つかった場合、対象のページにジャンプしたあとでも、 検索対象の文字は引き続き選択された状態になっています。そのため、 このまま取り消しキーTabを押しながら、 前ジャンプキー7または 次ジャンプキー1を2回押せば、 同じ文字を引き続き検索することができます。
 注意
検索の対象となるのは、同一文書中にあるページだけです。

文書中の電話番号を検索する

よむべえスマイルでは、印刷物に書かれている電話番号を自動的に検出して 読み上げることができます。

 キー説明
文書中の電話番号を検索するには、 文字が選択されていない状態取り消しキーTabを押しながら、 前ジャンプキー7または 次ジャンプキー1を2回押します。

前ジャンプキーが押された場合、 よむべえスマイルは現在の位置よりも前にある電話番号を検索し、 次ジャンプキーが押された場合は、 現在の位置よりも後にある電話番号を検索します。 電話番号が見つかった場合、 よむべえスマイルはその番号が書かれている部分を読み上げます。

 注意
検索の対象となるのは、同一文書中にあるページだけです。

ページの引越し

よむべえスマイルのページは、印刷物を読み取った順に追加されていきます。 読み取ったあとでページの順序を変更したり、 あるページを別の文書に移しかえたい場合は ページの引越しという操作をおこないます。

イラスト:ページの引っ越し
 キー説明
ページの引越しをおこなうには、まず移したいページに移動して、 補助キーBSを押しながら、 停止・再開キー5を2回押します。 「このページを引越し用にマークしました」という アナウンスがあり、現在のページ内容が記録されます。

つぎに、前ページキー9あるいは 次ページキー3を使って そのページを移す先に移動し、もう一度 補助キーBSを押しながら、 停止・再開キー5を2回押します。 「ページの引越しが完了しました」という アナウンスがあり、ページの引越しが完了します。

たとえば、10ページ目の内容を 5ページ目に挿入したいときは、 まず 10ページ目に移動してその「ページを引越し用にマーク」し、 つぎに5ページ目に移動してから「ページの引越しを実行」します。

 ワンポイント
ページを引越し用にマークしてから 別の文書に移動し、そこで引越しを実行すると、 そのページを別の文書に移すことができます。

6.4. スキャナの自動調整

よむべえスマイルに搭載されているイメージスキャナは工場出荷時に 調整されていますが、長く使っているうちにスキャナのガラス面が 汚れてきたり、スキャナ内部の状態が変わってくる場合があります。 このようなときは、スキャナ自動調整 という操作をおこなうことにより、イメージスキャナを最適な状態に 戻すことができます。

 ワンポイント
よむべえスマイルは何もしなくても一定期間ごとに 自動でスキャナの調整をおこなうため、 通常はスキャナの自動調整をおこなう必要ありません。 読み取りの調子がおかしいと感じたときにのみ、 スキャナの自動調整機能をお使いください。
スキャナの自動調整をおこなう場合は、よむべえスマイルに付属している スキャナ自動調整シートを使います。 スキャナ自動調整シートを用意し、これのカドが欠けている部分が スキャナのガラス面の左手前隅になるように置きます。 その後、拡張メニューから自動調整を実行します。
イラスト:スキャナ自動調整シートを置く
 キー説明
スキャナの自動調整をおこなうには、まず拡張メニューを開きます。 取り消しキーTabを押しながら、読み取りキーの 左隣りにあるモード切り換えキー.を2回押します。

「拡張メニュー」というアナウンスがあり、 その後、上下のキーで項目が選択できる状態になります。 ここで下キー2を数回押すと 「スキャナ自動調整」とアナウンスしますので、 この状態で停止・再開キー5を押します。 スキャナの調整が開始され、読み取り完了後に 認識精度がアナウンスされます。

 注意
スキャナの調整中は、イメージスキャナのフタを開けないでください。
 ワンポイント
スキャナ自動調整シートがなくても スキャナの自動調整をおこなうことは可能ですが、 その場合、認識精度を測定することはできず、 調整後に「これはスキャナ自動調整シートではありません」と アナウンスされます。

6.5. よむべえスマイルの設定を変更する

よむべえスマイルの細かなふるまいを変更するには、 設定変更メニューを使います。

 キー説明
設定変更メニューを開くには、 取り消しキーTabを押しながら、 設定キー*を2回押します。

「読書器の設定」というアナウンスがあり、 その後、上キー8と下キー2で設定項目が選択できる状態になります。 各設定項目ごとに、右キー6と左キー4で内容を変更して 読み取りキーEnterを押すと、 変更されます。メニューの中で 取り消しキーTabを押すと、 設定は変更されずに元の状態に戻ります。

 ワンポイント
すべての設定を出荷時の状態に戻すには、 一番下の「設定を確定する」という項目を選んで 右キー6または左キー4を1回押してください。 項目の内容が「出荷時の設定に戻す」に変わります。 この時点で読み取りキーEnterを押すと、 よむべえスマイルの設定は出荷時の状態に戻ります。

設定変更メニューには、多くの項目が用意されています。 設定項目の一覧については、 付録C-1. 音声・拡大読書機モードの設定項目 および 付録C-2. CD・USBモードの設定項目 をご覧ください。 この節では、いくつかの重要な項目にしぼって説明します。

ルビの読み上げ

印刷物によっては、読み方のむずかしい漢字にルビがついていることがあります。 この項目はそのような文字を、よむべえスマイルがどのように読み上げるかを 指定します。設定には「普通に読む」「詳細に読む」「ルビを無視する」 の3種類があり、それぞれ以下のような違いがあります:

よむべえスマイル出荷時には、これは「普通に読む」に設定されています。

認識する言語

よむべえスマイルが文字認識する言語を指定します。 「日本語」「英語」「自動判定」の3種類の設定が選べます。 この項目を「日本語」に設定した場合、よむべえスマイルは英字を正しく認識しますが、 英文や英単語はすべてローマ字読みで発音します。「英語」に設定した場合、 よむべえスマイルは英文を正しく認識し、読み上げも英語の発音でおこないます。 「自動判定」に設定した場合、よむべえスマイルはその印刷物が日本語で書かれているか、 英語で書かれているかを自動的に判定します。

よむべえスマイル出荷時には、これは「日本語」に設定されています。

 注意
認識する言語を「英語」に設定した場合、 よむべえスマイルは日本語の文字を認識しませんのでご注意ください。 また、言語を「自動判定」に設定した場合、 英語として文字認識した場合でも、読み上げはつねに日本語でおこなわれます。 なお、点字文書はこの設定に関わらずつねに日本点字として認識されます。

文書の保存形式

よむべえスマイルの文書をUSBメモリに保存する際の保存形式を指定します。 保存した文書は、パソコンあるいは携帯型デイジープレイヤーでご利用いただけます。 保存できる形式には以下のものがあります。

この設定項目を変更すると、拡張メニューの 文書保存の操作名がそれに合わせて変更されます。 よむべえスマイル出荷時には、これは「テキスト形式」に設定されています。

 注意
保存形式として「デイジー形式」または「MP3形式」を指定した場合、 現在の設定にかかわらず、つねにデフォルトの女性音声が読み上げに使われます。

スキャン方式

よむべえスマイルは通常、印刷物の色を無視してスキャンします。 設定変更のスキャン方式を「グレースケール」から「カラー」に変更すると、 印刷物の色をそのまま読み取ることができます。 「カラー」方式で読み取った印刷物は、 拡大読書機モードでもカラーとして表示されます。

よむべえスマイル出荷時には、これは「グレースケール」に設定されています。

 ワンポイント
色がついていたり、背景にすかしが入っている印刷物は、 カラーによるスキャンのほうが、通常の読み取りよりも よい認識結果が得られることがあります。
 注意
カラーによるスキャンは通常の読み取りよりも長い時間がかかります。 読み取り完了のアナウンスがあるまでは、印刷物を動かさないよう注意してください。

日付と時刻の変更

よむべえスマイルには、印刷物を読み取った時刻を記録するための 時計が内蔵されています。この項目を変更するには、 まず停止・再開キー5を押してください。 つぎに現在の日付または時刻を、よむべえスマイルのテンキーを使って 数字で入力します。年・月・日 (または 時・分) の各項目を入力したあとに、 読み取りキーEnterを押して変更を確定してください。

 注意
よむべえスマイルのテンキーに書かれている数字は、 通常の電話機の番号とは上下の位置が逆なので注意してください。 よむべえスマイルでは、左手前隅がゼロのキーで、 その上の列が 1,2,3、その上の列が 4,5,6 …という順序になっています。