2003年5月23日
視覚障害者ヒューマンリソース・セミナー・東京都障害者福祉会館にて
株式会社アメディア 代表取締役 望月 優
視覚障害者に効率の良い業務を遂行してもらうためには、適切な支援機器と業務でそれらをうまく使いこなすための訓練や研修が必要です。
情報のやり取りがカギ
目の見えない人と業務を進めていく上で、もっとも大切なのは、業務情報のやり取りです。
1. メールの有用性
全盲の人は印刷物を自分の目で読むことはできません。
弱視の人はこれをルーペなどを使いながら、普通の人達よりもかなり苦労しながら読みます。
ところが、パソコンでやり取りする電子メールは、メール内容を音声で読み上げるソフトや画面を拡大するソフトなどにより、全盲者でも弱視者でも、ほとんど苦労なく読み、そして書いて発信することができます。
ですから、印刷物を配るのならばその元になっているデータをメールに添付して、FAXで短い内容を伝達するのならばその内容をメール本文に貼り付けてメールしてください。
2. 各種の機器とソフトウェア
視覚障害者は彼等に取って使い易い機器やソフトをそろえれば、かなり効率の良い事務をこなすことができます。
(1) パソコン
パソコンは一般の人達が用いている通常のWindowsパソコンを使います。
全盲者の場合には、Windowsの状態を音声化するスクリーン・リーダーという種類のソフトが必須です。
弱視の人でも、スクリーン・リーダーを利用して、画面の見にくさを補いながら操作することも少なくありません。
スクリーン・リーダーを利用することにより、訓練された視覚障害者の場合には、ワードやエクセルをある程度使いこなすことができます。
スクリーン・リーダーには、以下のものがあります。
JAWS PC-Talker 95Reader スクリーン・リーダーの他にも、視覚障害者の作業効率を高める便利なソフトが各種あります。
・音声読み上げホームページ閲覧ソフト ホームページ・リーダー ボイス・サーフィン
・音声読み上げ電子メール・ソフト ユニメール マイメール
・画面表示拡大ソフト ZoomText
・印刷物読み上げソフト ヨメール よみ姫 よみとも マイリード
・自動点訳ソフト EXTRA
(2) 拡大読書機
弱視者の場合には、拡大読書機を用いることによって、印刷物の内容や図面を読み取ることができるようになります。
なお、拡大読書機の選定に当たっては、本人の眼疾や見え方にマッチしたものを選択する必要があります。
(3) 点字機器
点字を使いこなすことのできる視覚障害者に取っては、点字ディスプレイや点字電子手帳及び点字プリンタを導入して頂くことにより、さらに作業効率を上げることができます。
なお、上記のソフトウェアや機器の詳細に関しては、下記ページを参考にしてください。
http://www.amedia.co.jp/product/
3. 社内ネットワーク
社内でLANを用いている場合には、視覚障害従業員の端末パソコンもLANに接続してください。
接続して頂くことによって、社内の電子データが共有化でき、視覚障害従業員の仕事もほとんど周りの目の見える従業員と同じように行われるようになります。
なお、スクリーン・リーダーなどのいくつかの特別なソフトを使うため、ネットワーク環境に何か悪影響が出るのではないかと誤解される旨がしばしばあるようですが、端末パソコンのみで動作している音声化ソフトが、ホスト側に何らかの影響を与えるということはありません。