ITとUDとの関係

2004年10月14日

全視情協福岡大会 UDフォーラムにて

株式会社アメディア 望月優

(1)印刷革命時の失敗から学ぶIT革命UD化成功法則

 

グーテンベルクの印刷技術の発明により、活字が一気に普及し、情報の主流をなすものが活字となった。

これにより、晴眼者の文字文化は急速に進展し、その結果、視覚障害者の情報文化は相対的に大幅な遅れをとった。

この段階での差は、

まず第1に技術的に活字に代わるものを生み出すのが容易ではなかったこと、第2に、視覚障害者の立場を主張する者がパリ盲学校を創設したアウイが登場するまであまりいなかったことが大きな要員となっていると考えられる。

20世紀末からIT技術が急速に進歩し、インターネットも急速に普及してきた。このITによる情報化の流れは、15世紀の印刷技術の発明に匹敵するほどの大きな情報革命をもたらしつつある。

しかし、今度は視覚障害者は遅れをとってはならないし、それを実現する要素も多く抱えている。

まず、技術的な対応が活字に比べればはるかに容易だ。また、視覚障害者の立場を主張する者も決して少なくない。

この利点を生かして、業者は技術を追求し、当事者は適切な自己主張を行うことが、ITを利用した製品のUD化の鍵になるであろう。

(2)ATとUD

UD(ユニバーサルデザイン)は、一般の製品を障害者を含む誰でもが使えるものにしようという考え方だ。
一方、障害者の利用を技術で支援しようという支援技術の考え方を Assistive Technology (AT) と呼ぶ。

実は、UDは現段階では哲学であり、具体的な方策は非常に未熟だ。視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者そして耳の遠い高齢者、視力の弱い高齢者など、それぞれの立場のものがそれぞれの立場から自己主張を行い、その要求から生まれてくるそれぞれの支援技術が、結局は骨核となるUDに具体的な肉付けをしていくのである。

このことからも、当事者からの具体的な主張を以下に社会にアピールしていくことができるのかが、今後のユニバーサルデザインの結実に大きな影響を及ぼすであろう。

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