可能性を引き出す力

2009年6月26日 宮崎同友会事務所にて

望月優

自分の可能性を引き出すために

みんなの可能性を引き出すために

1 自分の可能性を引き出すために

2年前に国際アビリンピックのセミナーで「障害者がキャリアアップしていく働き方の心得」というタイトルで話をさせて頂きました。

これは、障害者の聴衆に向けて話した内容ですが、私自信の「可能性を引き出す力」の振り返りでもありますので、そのときの話を最初にします。

1.できること、やれることをアピールしなければならない。

障害者が働く場を得るためには、まずはどんな仕事ができるのかを具体的に自分でアピールしていく必要があります。

これは、就職前のみならず、就職後においても同様で、職場内で自分のやれることを積極的にアピールすることによって、やりがいのある仕事が得られます。

仕事は与えられるものではなく、自分で勝ち取るものです。

2.頼み上手にならなければならない。

やれることをアピールする一方で、やれないこと、自分では効率の悪いことについては、周囲の人達に上手に手助けを頼む必要があります。

「上手に頼む」とは、

が必要です。

その秘訣は、

A.コミュニケーション上手になること

頼むとき、強縮せずに明るい声で堂々とお願いすること。

強縮していると、相手が冗談も言えず、硬い雰囲気になります。

B.依頼相手の今の状況や得意・不得意を配慮すること

相手が今どんなことをやっていて、どのぐらい忙しいのかに気を配ること。

忙しいときに無理やり頼むと、「依頼心が強い」という反感をもたれます。

C.お返しに相手の手伝いをすること

相手が忙しいとき、何か手伝えることがあれば自分から声をかけて手伝うこと。

です。

3.業務として指示ができなければならない。

職場での実績が評価されると、部下が配置され、上司となります。

このときには、新しい課題として、仕事の指示を適切に出す必要が出てきます。

1.のスタンスに偏りすぎている障害者は、何でも自分でやろうとしてしまい、適切な業務指示ができないことがあります。

上司になったら、自分ができることでも、自分がやるのではなく、部下にさせなければなりません。上司というのは、率いるチームでの生産性で評価されるからです。

一方、2.のスタンスに偏りすぎている障害者は、何でも人にやってもらおうとします。

また、やってもらうことは自分のサポーとというイメージが焼きついてしまっているため(障害者根性)、「業務として指示する」というスタンスに断ち切れないことがあります。

このような人は、自分自身の心の改革が必要です。

このように、上司にステップアップするためには、1.と2.のスタンスをバランスよくこなす実践を経て人間として成長する必要があります。

事例

私は文章を書くのは得意ですが、業務内容に応じて、担当の社員に文書作りを指示します。

アメディア立ち上げ時からしばらくは経理の仕訳を自分でやっていましたが、5年目に経理担当を雇って任せました。

最初は自分でもプログラムを書いていましたが、今はほとんど書きません。

よくない事例として、今でも英語の翻訳を自分でやってしまうことがあります。


2 みんなの可能性を引き出すために

私は、同友会に入るまで、社員の可能性を引き出し、伸ばすことが全くできない社長でした。

創業時から2002年の同友会入会までは、見事に赤字体質の会社、入会後少しずつ財務体質が改善し、2年前から黒字体質に転換しました。

4月28日に東京・世田谷支部総会で話をさせて頂きましたので、そのときのレジュメの抜粋を掲載し、それに沿って話をさせて頂きます。

一人で創った会社からみんなの会社へ

2009年4月28日

東京中小企業家同友会 世田谷支部総会

北沢タウンホール スカイサロン にて

一人で創った会社からみんなの会社へ

本日は、同友会での学びと自己啓発の学びで会社が良い回転になりはじめているお話をします。

本日の最重要キーワード:普通のことに感謝する

1. アメディアの略歴

1987年12月に「コミュニケーションサービス」という屋号で視覚障害者向けのパソコンのサポート販売を一人ではじめる。

1989年2月に北区中十条で株式会社アメディアとして法人登記。3月に一人目の社員(視覚障害者)を雇用し、二人体制となる。

その後、徐々に社員数も増え、1991年には米国からの点字プリンタの輸入販売を開始する。

1995年4月に現在地の新宿区西早稲田に移転。

1996年9月に印刷物を読み上げるパソコン用のソフト「ヨメール」を発売し、97年6月期の売上が2倍に伸びる。

その後、会社を拡張するが売上が伸びず、赤字状態が一気に拡大し、体質化する。

2002年12月に同友会に入会した頃は、助成金なしには運営できない1輪車操業状態。

同友会 入会後の業績の推移

年月
売上高
経常利益/損失
15
2003年6月
153,187千円
△14,351千円
16
2004年6月
163,879千円
△9,250千円
17
2005年6月
214,708千円
△7,368千円
18
2006年6月
227,337千円
6,761千円
19
2007年6月
209,581千円
△592千円
20
2008年6月
264,184千円
12,319千円
21
2009年3月
239,453千円
12,590千円

2. 同友会暦

2002年11月 11研分科会にて自社の福祉ビジネスについて語る。
2002年12月 同友会・豊島支部に入会。
2003年11月 同友会文京支部の経営指針1泊セミナーに参加。
2004年3月 同友会・豊島支部例会にて自社の経営体験を講演。
2004年5月 第1期豊島経営塾に参加。以後、第3期まで3年間続けて参加。
2004年10月 福島県石川町での第12回前谷障害者問題交流会の分科会で経営体験発表。
2004年11月 東京同友会経営基礎講座で学ぶ。
2005年4月 東京同友会・障害者問題委員会の委員長に就任。
2005年6月 同友会研修で同友会について学ぶ。
2006年9月~12月 第29期経営指針成文化セミナーで学ぶ。

以後、30期と31期はサポーターとして参加。31期は副社長と社員一人が参加。

2007年9月 目黒支部例会にて「人を幸せにしないビジネスはない」のタイトルで経営体験発表。
2007年10月 神奈川同友会障害者委員会準備会で講演。
2007年11月 第14回障害者問題全国交流会の第1回実行委員会。実行委員長に就任。
2008年9月 明治学院大学を会場に第14回障害者問題全国交流会。

3. アメディア社内の変化

4. 努力型から感謝型へのパラダイム転換

経営理念を社員と共有する道の入り口が、「普通のことに感謝する」と書かれたドアにあった。

--- 2007年11月29日の望月優の日記から ---

人生の質ランキング

Aランク:にこにこしながら努力する

Bランク:にこにこしながら努力しない

Cランク:苦虫をつぶしながら努力する

Dランク:苦虫をつぶしながら努力しない(不平、不満を持った状態、人のせいにする状態)

BとCは微妙だが、心の状態が人生を造っているので、心の状態が良い、つまりにこにこしていることの方が努力して進歩することよりも優先である。


自己啓発分野で知られるアンソニー・ロビンスやジェームス・スキナーは、人生の成功要素として、「感情のコントロール」を非常に重視しています。

感情の質が人生の質だといっても過言ではありません。その考え方が私の心に落ちて、上記のような日記になりました。

2008年 新年の抱負

2009年 新年の抱負

私が学んだ自己啓発本


ナポレオン・ヒル 「思考は現実化する」

スティーブン・コビー 「七つの習慣」

ジェームス・スキナー 「成功の9ステップ」

アンソニー・ロビンス 「一瞬で自分の夢を実現する方」


5. 前向きな気持ちを無理なく持ちつづけられる7対3の法則

アメディアでは、「成長評価シート」に基づいて、年2回評価し、それによって昇給を決めています。

成長評価シートの自己評価欄で社員の心の状態が読み取れます。

まず、ある程度高い自己評価が出せる状態が大切だと考えています。

本人の自己評価を高めるために、

を心がけています。

7対3の法則 = 自己満足7割、もっと頑張りたい3割

7割満足していれば、未達成の3割の部分は不満にはならず、前向きな気持ちで「これから歩むべき道」になります。

3割の「これから歩む道」は、進歩する余地でもあります。

進歩する余地、成長する余地を常に保ちつつ、目標に向かって一歩ずつ進んでいく、そのように自分の心の状態を常にコントロールしていれば、私たちは成長しつづけますし、その自分を感じるのが楽しくなってきます。

つまり、秘訣は、現在の自分の状態を常に7割型は肯定することです。

7割満足するためのキーワードは、「普通のことに感謝する」です。

「普通」は良いことなのです。この良い普通の状態をかもし出してくれている周囲の人誰にでも感謝できるししたくなります。

そして、普通に生活できている自分自身も素晴らしい人なのです。

6. 人と自分とを比較することの功罪

7. 社員の自己実現を目指して

まず、自分自身が7対3の法則で心の制御、感情のコントロールを心がけます。

次に、

を実行して、個々の社員の心の状態を引き上げます。

そして、普通のことを一緒に喜び、普通のことに一緒に感謝して、それら普通のことが経営理念に則して行なわれていることを社員とともに分かち合って喜びます。

株式会社アメディア

〒176-0011
東京都練馬区豊玉上1-15-6
第10秋山ビル1階
電話:050-1791-2070
FAX:03-3994-7177

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